家庭用消火器の選び方

家庭用消火器は、初期消火に有効で万が一の火災のために備えておくと安心です。
消火器は水よりも消火力が高く、消火剤が3.0kg入った消火器はバケツ9杯分の水に相当するそうです。しかし、消火器を購入するときは、値段やサイズだけでなく、火災原因によって使い分ける必要もあります。

火災には木材・紙・衣類から出火するA火災、
石油・ガソリンが引火するB火災、
電気設備や電気器具から発火するC火災があり、
消火器により得意とする火災原因が異なる点に注意しましょう。
「普通火災用」「油火災用」「電気火災用」と記載されている場合もあります。

消火器のタイプには、粉末タイプ・強化液タイプ・スプレータイプがあります。それぞれの特徴を把握して、設置場所に適したタイプを選んでください。

粉末タイプ消火器

消火力の高さを求める人には、スピーディーな消火が見込める粉末タイプがおすすめです。広範囲に粉末を噴出することで、火に酸素が供給されるのを防ぎます。特に灯油からの出火に適していますが、ABC火災すべてに対応している汎用性の高さが魅力です。

強化液タイプと比べると浸透性が低いため、布・木材などでは再燃の可能性がありますし、噴射時間が約10~15秒と短いため、火元を的確に狙わなければいけません。いざという時に使えるように購入後は必ず取り扱い方法を確認してください。
また、使用後は粉が飛び散り、掃除が大変というデメリットもあります。ホウキで掃いたあと水拭きをする必要があります。

大きさにも注意が必要です。3型は1.0kg、5型は1.5kg、6型は2.0kg程度ですが、10型は3.0kgを超えます。

強化液タイプ消火器

火元を確認しつつピンポイントで噴出でき、約15~40秒ほど噴射可能です。浸透力が高く、布・木材の再燃防止にも役立ちます。対象物に対する冷却効果もあり、てんぷら油からの出火にも有効です。なかでも、酢を主成分にした消火剤は人体への影響が少ないため、食品を扱うキッチン回りに適しています。

ただし、消火スピードが粉末タイプより劣る点はデメリット。本体の重量も粉末タイプの約2倍と重めなので、とっさのときの取り回しができるサイズを選びましょう。

スプレータイプ

スプレータイプは重量が450~600gほどと軽量で扱いやすいのが特徴です。キッチン・リビング・寝室など、設置場所を選びません。なかには壁に取り付けられる商品もあり、省スペースで置きたい人にも向いています。

ただし、消火力が低いのが難点です。内容量も少ないため、広範囲に広がった火災に不向きという特徴もあります。スプレータイプで火の勢いを弱め、粉末・強化液タイプで消火するなど、あくまで補助的な役割として使用しましょう。
また、スプレータイプには潤滑剤入りの水を使用したものと、二酸化炭素を使用するものがあります。潤滑油入りの水を使用した商品はストーブや天ぷら油からの出火に向いているタイプです。ただし、ハロンガスが使用されているものは再燃する可能性があるので、天ぷら油火災には使用してはいけません。
二酸化炭素で消火する消火器は電気機器・車のエンジンなどの初期消火に適しています。水や粉が入ると危険な精密機器への影響を少なくすることが可能。
スプレータイプの家庭用消火器は高熱に弱いため、ガスコンロのすぐ近くには置かないようにしましょう。

火消しシート・ボール

火消しシート・ボールなどは広範囲の火災には向いていませんが、使い方が簡単かつ軽量で、子どもや高齢者でも扱いやすいのがメリットです。

火消しシートは鍋に被せるだけで使えるので、てんぷら油からの出火に向いています。ほかのタイプと違い使用期限がなく、期限が過ぎて買い替えるといった手間やコストが必要ありません。

火消しボールは火災もとに投げれば破裂するので、とっさの判断で使いやすいのがポイントです。また、火消しボールには水を主成分とした逃げ道の確保に役立つタイプと、油火災にも使える液体が入ったタイプがあります。キッチンなどでてんぷら油からの火災に備えるのであれば、油火災に使えるタイプを選びましょう。

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